とある夜、浴びるほどの酒をのみ自由奔放に街を練り歩いた。
男、2人で最後に行き着く先は大人のお店である。
僕は友達と少し距離をおいて女性とコミュニケーションをとっていた。
愛嬌はなく、会話や雰囲気もいいわけではないがお酒の力もあったのか、僕はどうしても彼女の番号が知りたくなった。
「番号教えてよ!」
「番号教えてよ!」
僕は、何回も問いかける。
彼女のガードは固く、あっさり弾き返される。
『お店で教えちゃいけない決まりなの。』
そう!!僕は、夜のお店の中でも簡単に番号を教えてくれない場所に来ているのである。
しかし、僕の頭のなかではどうにかして彼女の番号をききだそうという考えでいっぱいになっていた。
そして、彼女とコミュニケーションをとり少しずつ距離をつめようと、もがいている。
◇◇◇◇
お店に入るのにそれなりのお金が発生するので、お客の中にはおおへいな態度をとる人がいるのではないかと思った。番号を聞き出すには優しく接し彼女の心を癒す方が可能性があると本能的に感じたのかもしれない。
僕は、必死に彼女に優しさをふりまいた。
僕の甘い声に彼女の目がトロ~っとしたように感じた。
彼女の心が揺らぎはじめているはずだ。
でも慌てるな、時間はまだある。
◇◇◇◇
時間も終盤にさしかかり、彼女との距離がグッと縮まっていたのを感じていた。
僕の肩に寄り添いぎみになり、足も少し僕のほうに近づいていた。
僕と彼女の膝の距離は5cmぐらいの距離になっていた。
時折、僕の膝と彼女の膝がキスをする。
それでも、僕は平然な顔をして心でニヤケていた。
すると突然彼女が、
『あ~。楽しかったのに。寂しいね。』
僕はここしかないと感じた。
「寂しいね。また、会いたいから番号教えてよ。」
『本当に教えちゃダメなんだけど・・・
番号、言うから覚えてよ。
1191××××』
僕は番号を覚えるために数回聞き、頭の中で1191××××と繰り返しながらお店を後にした。
◇◇◇◇
1191××××と携帯電話の履歴に入れようとしたが、充電がゼロになっていた。
「あ~ツイキャスで、manaちゃんみすぎたせいだよ♪」
駆け足でコンビニに飛び込んだ。
一目散にボールペンの陳列棚に向かい、さっと手に取り購入した。
1191××××。
自分の腕に大きく書き残し、いつでも忘れていいようにした。
ひと安心して、反省会として定食屋に入り友達に今回の一部始終を話した。
◇◇◇◇
ピー、ピー、ピー。
目覚ましが鳴り響く。
昨晩は飲みすぎで体からアルコールが抜けてなかった。
「ハーー。」
大きなため息で、体に残るアルコールと倦怠感をほんの少しだけ振り払う。
パッと腕をみると、1191××××と書いてある。
「あ!昨晩の・・・!」
ものすごく疲れが残っている体でも、女子の番号を履歴に残す行為は、自然と体が動いた。
携帯電話の電源をいれ、
「1191××××」
と履歴に残すためにコールした。
『携帯の画面にいきなり、自動位置情報特定、自動位置情報特定、』
僕の頭は、「???」となる。
『自動位置情報特定、はい!!消防局です。』
「えーーーー?」と慌てて電話を切った。
数秒で折り返しの電話がかかてくる。
『09×―××××―119』
これは、何か答えないとまずいと感じ、
「すみません。(不純な気持ちが強すぎて)間違えました。」
『そうですか。わかりました。気を付けてくださいね。』
一気に酔いもさめ僕は、思った。
酒と女と119には気をつけようと・・・。
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